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COLUMN

申し訳ございません。アンガーマネジメントは教えられません。大事なのは自分自身を知ること

部下を怒鳴ってしまった後、何時間も後悔したことはないでしょうか。

「もっとうまく伝えられたはずだ」と、布団の中で考え続ける夜もあるかもしれません。

極論を言います。アンガーマネジメントは、誰かに教えてもらうものではありません。

公務員時代に22年間、怒りに怒りで返し続けてきた私自身が、研修講師になってから気づいたことです。

この記事では、感情マネジメントの本当のゴールと、自分でも気づけない自分を知る方法をお伝えします。

部下との関わり方に悩む管理職の方に、特に読んでいただきたい内容です。

研修講師なのに「教えられない」と気づいた理由

研修では、6秒ルールや自分の思考のクセである「べき」の書き出し方など、具体的なテクニックをお伝えしています。

効果は、どれも実感していただけているようです。実際、多くの受講者が「怒りにくくなった」と話してくれます。

ですが、しばらく経つとまた同じパターンに戻ってしまう方もいるんですよね。

叱り方が変わっても、根っこにある考え方が変わっていない。

「以前より穏やかになったけど、根本は変わっていない気がする」という感想をいただいたこともあります。

そういうケースを、研修の現場で何度も見てきました。

テクニックだけを渡しても、なかなか変わらない人がいる。

そのことに気づいたとき、私は自分の教え方そのものを疑いました。

技術を教えることと、その人が変わることは、必ずしもイコールではない。

これが、この記事でお伝えしたい出発点です。

研修講師として何年も現場に立ってきたからこそ、断言できることでもあります。

怒りの正体は「べき」が裏切られたサイン

怒りは、突然わいてくるものではありません。

その裏には必ず、自分の中にある「こうあるべき」が隠れています。

たとえば、納期は必ず守るべき。部下は指示を素直に聞くべきだという思い。

こうした期待や価値観が裏切られたとき、人は怒りを感じるわけです。

言い換えれば、怒りは自分の価値観そのものを映す鏡だと言えます。

面白いのは、その「べき」が人によって全く違うという点です。

同じように部下が反論してきても、腹が立つ上司と、そうでない上司がいます。

反論の内容ではなく、上司自身が持つべきの違いが、反応の差を生んでいるからです。

遅刻を全く気にしない上司もいれば、1分の遅れでも許せない上司もいます。

どちらが正しいという話ではなく、それぞれの中にある基準が違うだけなんです。

ここまでは、一般的なアンガーマネジメントの解説と同じかもしれません。

本当に大事なのは、ここから先の話です。

アンガーログだけでは、自分の「べき」に辿り着けない

自分のべきを知る方法として、アンガーログはよく知られています。

怒りを感じた場面をシンプルに書き溜めていくもの。
その後、その時なんの期待(=べき)が裏切っられたのか書き出していく方法です。

これ自体は、とても有効な手法だと思います。

ただ、正直に言うと、それだけでは十分ではありません。

理由は、驚くほどシンプル。

自分のべきは、当たり前すぎて、なかなか言葉にできないからです。

まさに、

「灯台下暗し」

こうした壁に、多くの方がぶつかります。そして、「べきがわからず、書けません」となります。

自分を知る作業には、限界がある。

これは、努力が足りないという話ではありません。

紙に向かうだけでは、見えない領域があるという、ただそれだけのことです。

私自身、22年間気づけなかった「べき」がありました

私は公務員として22年間働き、最後は燃え尽きて退職しました。

その間、家では子どもの怒りに、怒りで返してしまう毎日。

その余波は、妻にも向かっていたと思います。

当時の私は、自分なりに努力していたつもりです。

本を読み、反省もしていました。

それでも、根本にある自分のべきには、なかなか辿り着けなかったんです。

変わり始めたきっかけは、対話という機会。

カウンセラーの学びの中で、他人に自分の話を聞いてもらう機会が増えました。

すると、自分では気づいていなかった前提が、ぽろっと言葉になって出てきたんです。

「自分は、弱さを見せてはいけないと思っていたのか」というように。

一人で書き出していた時には、絶対に出てこなかった言葉でした。

自分を守るための鎧のようなべきが、そこにあったんです。

「知らない自分」は、対話でしか見えてこない

では、自分でも気づけないべきは、どうすれば見えてくるのでしょうか。

その答えのひとつは、対話です。

人と話していると、思ってもみなかった言葉が、ふと口から出てくることがあります。

これは、一人で紙に向かっているときには、なかなか起きません。

相手がいて、質問をされて、初めて言葉になる本音があるからです。

  • 話しながら、自分の考えを整理できる
  • 相手の反応を通じて、自分の思い込みに気づける
  • 一人では絶対に出てこない言葉が出てくる

これは管理職の方にも、そのまま当てはまります。

部下との関係に悩んでいるとき、原因は指導方法だけとは限りません。

自分でも気づいていないべきが、関係をこじらせていることがあるからです。

対話の相手は、友人でも家族でも構いません。

ただ、専門家との対話には、また違う役割があります。

踏み込んだ質問をされることで、自分一人ではたどり着けない気づきが得られるからです。

私自身、こうした対話の積み重ねで、何度も自分を知り直してきました。

知らない自分は、一人では見つからない。

これが、感情マネジメントにおける本当の自己理解だと、私は考えています。

べきに気づくと、何が変わるのか

自分のべきに気づいたからといって、怒りが完全になくなるわけではありません。

怒りは自然な感情なので、なくす必要はないんです。

ですが、べきの正体を知っているかどうかで、その後の対応は大きく変わります。

  • 怒りが湧いた瞬間、その理由に見当がつくようになる
  • 部下の言動を、性格ではなく状況として見られるようになる
  • 「また怒ってしまった」という自己嫌悪のループが減っていく

私自身、対話を重ねてきた中で、確かに感じている変化です。

以前は子どもの一言にすぐ反応していた自分が、今は一呼吸おける自分になりました。

怒りっぽい自分を責め続けるより、そのべきの正体を知るほうが、ずっと前に進めます。

まとめ

ここまでの、大事なポイントの振り返りです。

  • 怒りの正体は、自分の中の「べき」が裏切られたサインである
  • アンガーログなどのセルフワークは有効だが、限界がある
  • 知らない自分に気づくには、対話が欠かせない

研修やテクニックを学ぶことは、もちろん意味があります。

ですが、本当のゴールは、テクニックの先にある自己理解です。

怒りっぽい自分を責めているとしたら、まずその自分を知ることから始めてみてください。

次のステップ

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

もし、自分では気づけない「べき」があると感じたなら、一人で抱え込む必要はありません。

紙に書き出す作業を続けてきた方ほど、対話によって見える景色の違いに驚かれることが多いです。

対話を通じて自分を知りたい方には、個人向けの診断・コーチングをご用意しています。

組織全体の関わり方を見直したい企業のご担当者様は、こちらの相談窓口からお気軽にご連絡ください。

この記事が、少しでも気づきのきっかけになったなら嬉しく思います。

少しずつでも、自分を知る旅を一緒に歩んでいけたら幸いです。

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