激しいパンク・ロックに救われた私が、人間関係で「つぶれる人」をなくしたいと思う理由
パンク・ロックなどの激しい音楽が好き、と知人に言うとたいてい「えー!!意外!」と言われます。 穏やかに見える外見からは、やはりギャップに感じられるのでしょう。 しかしパンク・ロックのスピリットが、私のあらゆる原動力です。激しい音の奥には、社会への怒りともいえるエネルギーがありました。そして、そのエネルギーを裏づけていたのは、学び抜いた人たちの知性でした。私はアンガーマネジメントの研修講師として、企業・行政・学校で、人間関係につぶれていく人たちと向き合ってきました。人間関係の理不尽に疲れてしまうのは、あなたが真剣に向き合ってきた証拠です。その感覚は、弱さではありません。この記事では、私がなぜ激しい音楽に惹かれ、なぜ今の仕事にたどり着いたのかをお話しします。人間関係による組織病理に悩むあなたに、読んでほしい自己紹介です。
浪人時代、Eagles「Hell Freezes Over」で洋楽にハマった
私の洋楽の入口は、大学浪人時代にさかのぼります。きっかけは、Eaglesの再結成後のアルバム「Hell Freezes Over」でした。
それまで洋楽は、どこか遠い世界のものでした。けれどこのアルバムを聴いてから、私は洋楽にハマり始めます。聴く幅は、The Rolling Stonesなどへと広がっていきました。主にイギリス・ロックに惹かれていきました。
ただ流れてくる音を聴くのではなく、自分から探求してCDを掘りにいく。いま振り返ると、この姿勢が私の音楽人生の土台になっています。そしてそれは、のちに学びを力に変えていく生き方にも、静かにつながっていきました。
大学時代、友人が連れてきたパンク・ロックの世界
大学に入ると、聴く幅はさらに広がりました。1年生のころには、Sex PistolsやThe Clashなどのロンドンパンクに惹かれていきます。
大きな転機は、1996年、大学2年生のときに訪れました。友人がGreen Dayを聴いていたのです。当時ハードコアとかメロコアとか言われていました。
その音を聴いて、私は一気にパンク・ロックへ傾いていきます。短く、速く、まっすぐ。言葉も音も、遠回りをしない。その潔さに強く惹かれました。
そして、パンク・ロックを聴き進めるなかで、The Offspringに出会います。この出会いが、いまに続く私の「好き」の一つ目の軸になりました。
働き始めて、フジロックで出会ったRage Against the Machine
大学を卒業して働き始めると、私の生活は大きく変わりました。仕事はストレスフルで、心も体も張りつめていた時期です。
そんな頃、バンドメンバーと一緒に行ったのが、1999年のフジロックでした。そこで出会ったのが、Rage Against the Machineです。
パンク・ロックの速い8ビートに慣れていた私にとって、それとは違う強烈なノリは衝撃でした。体の奥にぶつかってくるようなグルーヴ。そして、ステージ上から放たれる圧倒的なエネルギー。私は完全に呑み込まれました。
以来、The OffspringとRage Against the Machineは、私のお気に入りであり続けています。
怒りの裏にあったのは、学び抜いた知性だった
この2つのバンドに惹かれた理由は、音の激しさだけではありません。
一つは、矛盾と理不尽と不条理に満ちた社会への、強烈なメッセージです。そしてもう一つが、そのメッセージを裏打ちしている、フロントマンやギタリストの知性でした。
The Offspringのフロントマン、Dexter Hollandは、高校を首席で卒業し、南カリフォルニア大学で学びました。大学院に在学中、バンドが大ヒットします。学業か音楽かの選択を迫られ、彼は音楽の道を選びました。学業はそこから約20年の中断に入ります。
けれど、彼は学びを手放していませんでした。復学し、2017年に分子生物学の博士号を取得したのです。研究のテーマは、HIVでした。
Rage Against the Machineのギタリスト、Tom Morelloは、ハーバード大学で政治学を学びました。卒業後は、上院議員の秘書も務めています。両親も社会運動に関わる人で、社会に向き合う姿勢は、生い立ちのなかで培われたものだったようです。
ボーカルのZack de la Rochaは、メキシコのチアパス州を何度も訪れ、現地の人々の活動を支援してきました。音楽には、国境を越えて対話を生む力がある。彼はそう考えて、表現を続けています。
彼らに共通しているのは、怒りをただぶつけているのではない、ということです。学びで磨き、考え抜き、表現に変えている。怒りを、活動のエネルギーにしているのです。
これは、アンガーマネジメントの考え方そのものです。怒りは悪者ではありません。大切な何かを守りたいという気持ちのサインです。そのサインをどう扱うかで、人も組織も、行動が変わっていきます。
泥臭く青臭い生き方への憧れ
学ぶことを、社会変革のエネルギーに変える。そして、それを音楽という場で表現する。
この生き方は、泥臭くて青臭いものです。けれど私は、そこに強く憧れてきました。
きれいに整った答えを出すより、不器用でも、自分の言葉で現実にぶつかっていく。その姿は、学生時代の私にも、働き始めて疲れていた頃の私にも、確かな支えになってくれました。
転じて、私の今の仕事も社会変革である
ここから、いまの仕事の話に移ります。
私の今の仕事も、社会変革です。
日本社会は、コミュニケーションスキルや感情を扱う力がまだまだ未熟だと私は感じています。なかでも、教育分野の遅れは顕著です。感情の扱い方、気持ちの伝え方、違いの受け止め方。本来は子どもの頃から学べるはずのことを、私たちはほとんど教わらないまま大人になります。
その結果、職場でも学校でも地域でも、人間関係のこじれが生まれます。そして、真面目で責任感のある人ほど、静かに疲れ、つぶれていきます。これが、私の言う人間関係による組織病理です。
組織病理は、個人の弱さが原因ではありません。コミュニケーションの仕組みが未熟なまま続いてしまう組織が、生み出してしまう病です。だからこそ、一人の努力だけでは抜け出しにくいのです。
つぶれる人間をなくしたい。そしてそれは一人の努力では解決できず、社会を変えねばならない。この想いが、いまの研修講師としての仕事の下支えになっています。
人間関係による組織病理に悩むあなたへ
最後に、いま悩んでいるあなたへ、お伝えしたいことがあります。
職場の理不尽に違和感を持ち、人間関係に疲れ切ってしまう。その違和感に気づけているあなたは、まったく間違っていません。そして、そこで湧いてくる怒りは、大切なサインです。あなたが何かを守りたいと思っている証拠だからです。
大切なのは、その怒りを我慢して飲み込むか、爆発させるかの二択から降りることです。その間にある第三の道を、一緒に学んでいきましょう。学びは力です。
アンガーマネジメントは、自分の感覚を守りながら、人との関係を築き直していく方法です。そして、あなた自身が進む道を見つける土台にもなります。
私がパンク・ロックやRage Against the Machineから「違和感を持っていい」と教わったように、今度はあなたに、その学びをお渡ししたいと思っています。
つぶれる前に、学びましょう。
あとがき
今回は、私の原動力になっている音楽との出会いを、お話ししました。パンク・ロックの熱量、Rage Against the Machineの衝撃、そして怒りを支えていた知性。そのすべてが、いまの研修講師としての私をつくっています。
こうした私の原体験は、ホームページのコラムにも、時々載せています。よければ、のぞいてみてください。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。この記事が少しでもあなたの力になったなら、スキで応援してもらえるとうれしいです。